信頼できる弁護士の見つけ方

弁護士による横領事件が複数生じていることから、以下のような報道がなされています。
弁護士横領、被害救済検討=成年後見人などで後絶たず-「信頼維持に必要」・日弁連
https://www.jiji.com/jc/article?k=2016043000195&g=soc

記事にある制度は、「ひどい弁護士に依頼してしまった人を、他の利用者全員が負担して救済する」制度であることに注意が必要です(弁護士会費から資金が出るとしても、弁護士が払う会費の原資はそれぞれの依頼者が払った弁護士費用です)。

このような制度が「信頼維持に必要」とのことですが、そもそも弁護士の信頼というのは事件を依頼する段階から求められる要素です。このため、この制度が「信頼維持」に役立つとは思えません。仮に、弁護士が事件を引き受ける際に、「私があなたのお金を横領したとしても、弁護士会から見舞金がもらえるので安心して下さい」と説明したとして、そんな弁護士を信頼できますか?

もっとも、日弁連で検討してもこの程度の案しか出てこないというのは、弁護士会として横領を完全に抑止できるような良い手段が存在しないということの現れでもあるでしょう。

いずれにしても、利用者サイドとしては、いかにして信頼できる弁護士にたどり着くかが大切になってきます。信頼できる弁護士を見つける一番の方法は、人として信頼できる知り合いの弁護士に対応を相談することです。まともな弁護士であれば、仮にその事件が自分の専門外だった場合でも、適切な相談窓口を紹介します。弁護士の知り合いがいない場合は、次善の策として、信頼できる知人に弁護士を紹介してもらうのが良いでしょう。それも無理な場合は、せめて、社会一般の常識(それこそ「時間を守る」「連絡が取れる」「丁寧語を使える」などの単純なこと)を守れる弁護士に依頼することです。

投稿者:

弁護士 澄川 圭

神奈川県弁護士会(旧横浜弁護士会)川崎支部所属。企業法務、倒産事件、一般民事事件及び家事事件。英語関連の業務(英文契約書等)も取り扱っております。